自分には飲酒欲求もなくなり、もう抗酒剤は必要ないと思います。また、飲酒しそうな危ない時だけ抗酒剤を服用すればよいのではないでしょうか。それに抗酒剤に頼っての断酒は本物でないという気があるのですが。

<答> その一

抗酒剤を「酒が飲めなくなるクスリ」と考えている人が多いようですが、これは誤りです。抗酒剤を服用後飲酒すると、人工的な二日酔いの状態となり非常な苦しみを感じ、そのために飲酒を断念するといったものです。

だから、最初から酒を止める気の無い人にとっては恐ろしいクスリであり、そのため何とか服用しなくてもよい口実を考え出すものです。抗酒剤の副作用をおおげさに言い立てたり、服用した振りをして全然服用しなかった経験のある人もいるでしょう。また、家庭内において、シアナマイドを水に入れ替えて、家族の前で服用してみせるなどということをする人も多いようです。このような人は、もう一度最初からアルコール症の勉強をしてもらうしかありません。

また、完全断酒を決意しながらも抗酒剤を拒否する人も多いようです。このような人は、アルコール症の本質を少しばかり誤解していると思われます。抗酒剤を服用させられることに自尊心を傷つけられる思いをし「見張られている」「自分の意志力を信用されていない」「試されている」などと考えるようです。

しかし、それは次の2点で誤っていると思います。

第1に、アルコール症は意志力の低下のため起こるのではなく、純粋にアルコールに意志が働かない病気であるということです。ここで大切なのは、アルコールにのみ意志が働かないのであって、その他の物にも意志がないなどとは言っていない点です。

第2に、抗酒剤を自ら進んで服用するという行為は、決してみなさんが考えているような消極的な作業ではなく、むしろ非常に積極的な行為なのです。酒をやめるということは酒を我慢するとということですから、これを行動化することは困難です。ただひたすら耐えるという我慢の断酒は長く続きません。それに反して、酒を止めるために抗酒剤を服用するということは目に見える積極的な行動ですから実行が可能です。

また「抗酒剤を服用しないでも止める自信がある」と言われる人は、次の点を考えてみて下さい。「今まで断酒できなかった、あるいは断酒を続けることが出来なかったことをこれから始めようとするのに、どこからその自信は生まれてくるのだろうか」という疑問です。

とにかく「一日断酒」という目標の積極的な行動、あるいは決意表明として「毎日抗酒剤を服用する」ということは、いろいろな意味で有効な手段であり大切なことです。

<答> その二

みなさん方はこれから断酒を実行されるわけです。そうすると、今まで棚上げにしておいた種々の問題に素面で直面しなければなりません。そのストレスは、みなさんの予想をはるかに上まわっています。一つ二つのストレスに耐えることが出来ても、種々の悪条件が重なってきますと、必ずまた病的な飲酒欲求が起こって来るものです。長い飲酒生活の中で「ストレス=パニック=飲酒欲求=飲酒」という、条件反射的な習慣が出来あがってしまっているからです。

それに、飲酒欲求はいつ何時起こってくるか分かりません。よく人は、危ない時だけ抗酒剤を服用すると言うものですが、どうしてその日が安全なか危険な日か判断できると言うのでしょうか。

たとえさわやかな朝を迎えたとしても、昼にイヤなことにでくわし飲んでしまうかも知れないでしょう。

そこで、抗酒剤を次のように考えてみればどうでしょうか。抗酒剤を社会復帰のための保険、例えば火災保険として考えてみて下さい。

もし火災保険が、毎日毎日掛けていく制度とするならばどうでしょうか。今日は火事になりそうだ。あるいは雨だから火事にならないなどと判断して、危ない日だけ保険をかけるでしょうか。そんなことは決して無いと思います。やはり万が一に備えて毎日掛けておくでしょう。1年365日のうち1回でも火事を起こしたらおしまいだからです。

再飲酒の危機は、一年のうちに繰り返し繰り返しやってきます。その時、抗酒剤という保険が掛けてあれば何とかその危機を乗り越えられるでしょう。とにかく、素面で危機を乗り越えていくということが大切なのです。

我々は、抗酒剤をいつまでも服用して下さいとは言っていません。少なくとも断酒開始後、身体的、精神的な安定が得られるまで、約一年ぐらいは断酒の危機に備えて毎日の服用を勧めているのです。

<答> その三

家族を中心とした周囲の人々は、みなさんの今までの飲酒生活の中で味わった色々な苦しみを、なかなか忘れられないものです。そのため、断酒を始めてもいつか飲まれるのではないかという不安が常につきまとい、ついアルコール症の本人を監視するような行動をとりがちです。それがまた本人のいらだちを誘い、再飲酒の原因になることも多いようです。そこで、抗酒剤の効用として次の利点も考えられます。

まず第1に、抗酒剤を服用することにより、家族の「また飲酒されるのでは?」という不安がとり除かれ、安心するという点です。みなさんは長年アルコールのために家族を苦しめて来たわけですから、毎日抗酒剤を服用して家族を安心させてあげてもよいのではないのでしょうか。

抗酒剤服用の第2の利点は、そうして家族が安心することにより家族の不安やイライラがなくなり、アルコール症者本人を監視するような態度も少なくなり、家庭内の摩擦も減少する点です。断酒を行動化するためにも、素面で種々の問題を乗り越えていくためにも、繰り返し襲ってくる慢性の禁断症状出現時の病的な飲酒欲求を抑えるためにも、当然抗酒剤は有効なクスリですが、それに加えてアルコール症本人の抗酒剤服用は、周囲の人々の何よりの精神安定剤となるわけです。

家族の精神状態が安定しますと、先程述べましたように当然本人の精神状態にもよい影響を与え、今後の断酒継続の大きな力になるものと思われます。

我々は何も、一生抗酒剤を服用して下さいと言っているわけではありません。抗酒剤の力を借りてでも素面で過ごす一日一日を積み上げ、少々のことでは動揺しなくなる本当の断酒安定の日が来るまでは、油断を戒める意味で抗酒剤の毎日服用を提案しているわけです。

抗酒剤についてのまとめ

シアナマイド、ノックビンなどの抗酒剤は、世間でよく言われているような「酒がきらいになる薬」ではありません。抗酒剤服用後にもし飲酒すると、人工の二日酔状態となってしまい、その怖さのため飲酒を思いとどまるといった薬です。

次に、抗酒剤の効用をまとめてみます。

(1)断酒後、いつ襲ってくるかわからない断酒の危機、病的飲酒欲求を乗り越えるために毎日服用すること。危険な時だけ抗酒剤を服用するという人がよくいますが、危険な日は予測できないのです。

(2)抗酒剤服用は、目に見えて行動可能である。抗酒剤を飲むのは、すぐに実行できるのです。断酒のような行動不能なものを、行動可能なものに変えてそれを一つずつ実行していくのが断酒のコツです。そのために抗酒剤は大きな力となります。

(3)断酒後、数カ月後から繰り返し出現する慢性の禁断症状を乗り越える。

(4)抗酒剤を毎日服用することによって家族の安心が得られ、そのために無用の摩擦が避けられる。家族の安心が本人にまた心の安定を与える。

(5)自分をごまかさない習慣を作る。アルコール依存症にかかってしまっている事実を認め続け、その病気を治す「クスリ」として毎日抗酒剤を服用する。

(6)抗酒剤の力を借りてでも素面で過ごす日を一日でも多く積み重ね、その間に断酒会、AAなどに出席することによって断酒の動機をより強いものにしていく。

重要なお知らせ

第3日曜日(合同例会断酒表彰)変更について

<答> その一
抗酒剤を「酒が飲めなくなるクスリ」と考えている人が多いようですが、これは誤りです。抗酒剤を服用後飲酒すると、人工的な二日酔いの状態となり非常な苦しみを感じ、そのために飲酒を断念するといったものです。
だから、最初から酒を止める気の無い人にとっては恐ろしいクスリであり、そのため何とか服用しなくてもよい口実を考え出すものです。抗酒剤の副作用をおおげさに言い立てたり、服用した振りをして全然服用しなかった経験のある人もいるでしょう。また、家庭内において、シアナマイドを水に入れ替えて、家族の前で服用してみせるなどということをする人も多いようです。このような人は、もう一度最初からアルコール症の勉強をしてもらうしかありません。
また、完全断酒を決意しながらも抗酒剤を拒否する人も多いようです。このような人は、アルコール症の本質を少しばかり誤解していると思われます。抗酒剤を服用させられることに自尊心を傷つけられる思いをし「見張られている」「自分の意志力を信用されていない」「試されている」などと考えるようです。
しかし、それは次の2点で誤っていると思います。

第1に、アルコール症は意志力の低下のため起こるのではなく、純粋にアルコールに意志が働かない病気であるということです。ここで大切なのは、アルコールにのみ意志が働かないのであって、その他の物にも意志がないなどとは言っていない点です。
第2に、抗酒剤を自ら進んで服用するという行為は、決してみなさんが考えているような消極的な作業ではなく、むしろ非常に積極的な行為なのです。酒をやめるということは酒を我慢するとということですから、これを行動化することは困難です。ただひたすら耐えるという我慢の断酒は長く続きません。それに反して、酒を止めるために抗酒剤を服用するということは目に見える積極的な行動ですから実行が可能です。
また「抗酒剤を服用しないでも止める自信がある」と言われる人は、次の点を考えてみて下さい。「今まで断酒できなかった、あるいは断酒を続けることが出来なかったことをこれから始めようとするのに、どこからその自信は生まれてくるのだろうか」という疑問です。
とにかく「一日断酒」という目標の積極的な行動、あるいは決意表明として「毎日抗酒剤を服用する」ということは、いろいろな意味で有効な手段であり大切なことです。
<答> その二
みなさん方はこれから断酒を実行されるわけです。そうすると、今まで棚上げにしておいた種々の問題に素面で直面しなければなりません。そのストレスは、みなさんの予想をはるかに上まわっています。一つ二つのストレスに耐えることが出来ても、種々の悪条件が重なってきますと、必ずまた病的な飲酒欲求が起こって来るものです。長い飲酒生活の中で「ストレス=パニック=飲酒欲求=飲酒」という、条件反射的な習慣が出来あがってしまっているからです。
それに、飲酒欲求はいつ何時起こってくるか分かりません。よく人は、危ない時だけ抗酒剤を服用すると言うものですが、どうしてその日が安全なか危険な日か判断できると言うのでしょうか。
たとえさわやかな朝を迎えたとしても、昼にイヤなことにでくわし飲んでしまうかも知れないでしょう。
そこで、抗酒剤を次のように考えてみればどうでしょうか。抗酒剤を社会復帰のための保険、例えば火災保険として考えてみて下さい。
もし火災保険が、毎日毎日掛けていく制度とするならばどうでしょうか。今日は火事になりそうだ。あるいは雨だから火事にならないなどと判断して、危ない日だけ保険をかけるでしょうか。そんなことは決して無いと思います。やはり万が一に備えて毎日掛けておくでしょう。1年365日のうち1回でも火事を起こしたらおしまいだからです。
再飲酒の危機は、一年のうちに繰り返し繰り返しやってきます。その時、抗酒剤という保険が掛けてあれば何とかその危機を乗り越えられるでしょう。とにかく、素面で危機を乗り越えていくということが大切なのです。
我々は、抗酒剤をいつまでも服用して下さいとは言っていません。少なくとも断酒開始後、身体的、精神的な安定が得られるまで、約一年ぐらいは断酒の危機に備えて毎日の服用を勧めているのです。
<答> その三
家族を中心とした周囲の人々は、みなさんの今までの飲酒生活の中で味わった色々な苦しみを、なかなか忘れられないものです。そのため、断酒を始めてもいつか飲まれるのではないかという不安が常につきまとい、ついアルコール症の本人を監視するような行動をとりがちです。それがまた本人のいらだちを誘い、再飲酒の原因になることも多いようです。そこで、抗酒剤の効用として次の利点も考えられます。
まず第1に、抗酒剤を服用することにより、家族の「また飲酒されるのでは?」という不安がとり除かれ、安心するという点です。みなさんは長年アルコールのために家族を苦しめて来たわけですから、毎日抗酒剤を服用して家族を安心させてあげてもよいのではないのでしょうか。
抗酒剤服用の第2の利点は、そうして家族が安心することにより家族の不安やイライラがなくなり、アルコール症者本人を監視するような態度も少なくなり、家庭内の摩擦も減少する点です。断酒を行動化するためにも、素面で種々の問題を乗り越えていくためにも、繰り返し襲ってくる慢性の禁断症状出現時の病的な飲酒欲求を抑えるためにも、当然抗酒剤は有効なクスリですが、それに加えてアルコール症本人の抗酒剤服用は、周囲の人々の何よりの精神安定剤となるわけです。
家族の精神状態が安定しますと、先程述べましたように当然本人の精神状態にもよい影響を与え、今後の断酒継続の大きな力になるものと思われます。
我々は何も、一生抗酒剤を服用して下さいと言っているわけではありません。抗酒剤の力を借りてでも素面で過ごす一日一日を積み上げ、少々のことでは動揺しなくなる本当の断酒安定の日が来るまでは、油断を戒める意味で抗酒剤の毎日服用を提案しているわけです。
抗酒剤についてのまとめ
シアナマイド、ノックビンなどの抗酒剤は、世間でよく言われているような「酒がきらいになる薬」ではありません。抗酒剤服用後にもし飲酒すると、人工の二日酔状態となってしまい、その怖さのため飲酒を思いとどまるといった薬です。
次に、抗酒剤の効用をまとめてみます。
(1)断酒後、いつ襲ってくるかわからない断酒の危機、病的飲酒欲求を乗り越えるために毎日服用すること。危険な時だけ抗酒剤を服用するという人がよくいますが、危険な日は予測できないのです。
(2)抗酒剤服用は、目に見えて行動可能である。抗酒剤を飲むのは、すぐに実行できるのです。断酒のような行動不能なものを、行動可能なものに変えてそれを一つずつ実行していくのが断酒のコツです。そのために抗酒剤は大きな力となります。
(3)断酒後、数カ月後から繰り返し出現する慢性の禁断症状を乗り越える。
(4)抗酒剤を毎日服用することによって家族の安心が得られ、そのために無用の摩擦が避けられる。家族の安心が本人にまた心の安定を与える。
(5)自分をごまかさない習慣を作る。アルコール依存症にかかってしまっている事実を認め続け、その病気を治す「クスリ」として毎日抗酒剤を服用する。
(6)抗酒剤の力を借りてでも素面で過ごす日を一日でも多く積み重ね、その間に断酒会、AAなどに出席することによって断酒の動機をより強いものにしていく。