第4章 心の障害_1(13)

●心の障害_1:心の障害の正体

アルコール症者の中には非常に理屈の多い人がいますが、これも、今までお話してきたような、長年自分をごまかし守るための言い訳を、心の中で常々行ってきた証拠ではないでしょうか。

この人は、自分のアルコール問題という非を認めず、自分に都合のよい、理屈にならない理屈を言うものですから、さらに周囲の人々に嫌われるという悪循環に陥っていることに気付きません。

こうして、自分に対して都合のよい言い訳を長年にわたって続けているうちに、アルコール症者の心の中には、自分はこういう人間なのだというイメージが出来上がります。

ですが、元々このイメージは現実の問題を否定することから出発してきたものですから、現実の姿とは正反対のものになっていることが多いわけです。

しかし、アルコール症の進行とともに、飲酒問題はさらに深刻になり、周囲の人々はその深刻な現実を見て、アルコール症者に非難や説教を集中させていきます。

ところが、周囲の人々が非難する現実は、すでにアルコール症者にとっては現実でなくなっているのです。

自分はちゃんと仕事もしてきたし、家族のことも大切に思っている。

確かに、飲み過ぎて失敗したり、約束を守れなかったりしたこともあったかもしれない。

それにしても、周囲は自分に冷たすぎるのではないか。自分は、周囲の人々から誤解を受けやすい人間なのだ。

アルコール症者は、心の中でこのように思うようになってしまいます。

この、誤解されやすい自分というものをもう少し進めれば、すぐに自分を理解しない周囲が悪い、という他罰的な態度に到達してしまうでしょう。

こうして、アルコール症の初期の頃には自分が悪いと考えていたアルコール症者も、長年にわたる二種類の言い訳を続けてきた結果、周囲が悪いという考えに支配されるようになってしまいます。

こうなれば、自分の飲酒行動も正当化できます。

いろいろな問題があるのは自分が悪いのではなく、自分を受け入れない周囲の人々や状況が悪い。

こう思えば、アルコール症者は飲みながらでも一応問題は解決できるわけです。

以上のように、アルコール症者の中で起こる心理変化が、心の障害と呼ばれるものの正体です。

次章では、アルコール症者が創り上げた、自己のイメージと現実の姿の関係について、もう少し深く考察してみましょう。

重要なお知らせ

第3日曜日(合同例会断酒表彰)変更について

●心の障害_1:心の障害の正体
アルコール症者の中には非常に理屈の多い人がいますが、これも、今までお話してきたような、長年自分をごまかし守るための言い訳を、心の中で常々行ってきた証拠ではないでしょうか。

この人は、自分のアルコール問題という非を認めず、自分に都合のよい、理屈にならない理屈を言うものですから、さらに周囲の人々に嫌われるという悪循環に陥っていることに気付きません。
こうして、自分に対して都合のよい言い訳を長年にわたって続けているうちに、アルコール症者の心の中には、自分はこういう人間なのだというイメージが出来上がります。
ですが、元々このイメージは現実の問題を否定することから出発してきたものですから、現実の姿とは正反対のものになっていることが多いわけです。
しかし、アルコール症の進行とともに、飲酒問題はさらに深刻になり、周囲の人々はその深刻な現実を見て、アルコール症者に非難や説教を集中させていきます。
ところが、周囲の人々が非難する現実は、すでにアルコール症者にとっては現実でなくなっているのです。

自分はちゃんと仕事もしてきたし、家族のことも大切に思っている。
確かに、飲み過ぎて失敗したり、約束を守れなかったりしたこともあったかもしれない。
それにしても、周囲は自分に冷たすぎるのではないか。自分は、周囲の人々から誤解を受けやすい人間なのだ。

アルコール症者は、心の中でこのように思うようになってしまいます。

この、誤解されやすい自分というものをもう少し進めれば、すぐに自分を理解しない周囲が悪い、という他罰的な態度に到達してしまうでしょう。
こうして、アルコール症の初期の頃には自分が悪いと考えていたアルコール症者も、長年にわたる二種類の言い訳を続けてきた結果、周囲が悪いという考えに支配されるようになってしまいます。
こうなれば、自分の飲酒行動も正当化できます。
いろいろな問題があるのは自分が悪いのではなく、自分を受け入れない周囲の人々や状況が悪い。
こう思えば、アルコール症者は飲みながらでも一応問題は解決できるわけです。
以上のように、アルコール症者の中で起こる心理変化が、心の障害と呼ばれるものの正体です。
次章では、アルコール症者が創り上げた、自己のイメージと現実の姿の関係について、もう少し深く考察してみましょう。