終章 アルコール症の悪循環と自助グループについて(8)
●おわりに
これまでお話してきたように、アルコール症者の中では全ての面において原因と結果の逆転が起こっていることが多いのです。
では、このような態度で、アルコール症者は一体何を守ろうとしているのでしょうか。
答えは簡単です。
アルコールが原因でいろいろな障害が出てきたという事実から目をそらし、自己の飲酒を正当化しようとしているわけです。
つまり、世間からの非難に対して、自分のアルコールは問題ない、仕方なしに飲んでいるだけだと無意識に自己弁護しているのです。
しかし、このように自分のアルコール問題から目をそらし続けている間は、本当の断酒生活などできるはずがありません。
もう一度、正しい原因と結果を確認することが、アルコール症からの回復のためには絶対必要になってきます。
それができる場所として、AA(アルコール依存症者により始められた自助グループ)や断酒会があります。
そして、その中で語られる体験談を素直に聞き続け、また自ら語り続ける必要があります。
その中で、今まで飲酒の原因と考えていたいろいろな問題が、逆に飲酒生活の結果であったと気付くことでしょう。
この意味においても体験談は絶対必要なのです。
本書は、アルコール症についての医学的な説明書ではありません。
アルコール症者やその家族に、この病気についてあらゆる角度から考えていただくヒント集として利用していただければ幸いです。