アルコール症の治療を阻害するもの「三つの誤解と偏見」(3)

第三のは、『アルコール中毒』という言葉自体にあります。

この単純な誤解は、
思いのほかこの病気の
大きなさまたげになっているようです。

というのは、
アルコールの中毒状態になっているのだから、
外来や入院でアルコールの毒素さえ抜けば、
つまり解毒すれば治る、
と考えるアルコール症者や
非常に多くみられるということです。

せっかくを受けても、
この第三の
多くの患者さんやそのを中途脱落させているのです。

「もう完全に酒気は抜けました。
 身体も元気になり、酒ももう欲しくありません。
 もう治りました。」

このような言葉を、我々医療者は
何度となく聞かされています。

中毒という言葉の『中』という字は、
『~にあたる』という意味を持ちます。

つまり、中毒とは読んで字のごとく
毒に中(あた)るということです。

フグに含まれているテトラドトキサンという毒素に中る。
鉛や水銀など重金属に中る。

本来はこのように、毒物に中る病気にのみ
中毒という言葉は使われるべきでしょう。

そして、このような病気であれば、
確かに適切な解毒のを受けられれば、
当然治る可能性はあります。

日本では、
アルコール中毒、薬物中毒という言葉が、
一般的に用いられてきました。

しかし、これらは毒に中る病気ではなく、
自らがその薬物に依存する病気なのです。

つまり、これらの病気を正しく表現するには、
『アルコール依存症』
『薬物依存症』
と、呼ぶべきです。

繰り返しますが、
アルコール中毒ではなく、
アルコール依存症なのです。

言葉というものには、
必ず一定のイメージが伴います。

アルコール中毒という言葉が持つイメージのためにある、
一定期間アルコールを解毒すれば治る、
という第三のが、
さらにこの病気の途中での脱落に
拍車をかけているのが現状なのです。

アルコール症のに際して、
今まで述べてきたような
三つのを正し、
アルコール症全体の正しい知識を
患者さんだけでなく、
周囲の人々も持つことが大切なのです。

次回は6月5日(月)に公開します。

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