院長からのメッセージ 14

ライオンとシマウマ

 皆さんはおそらく、ライオンに追いかけられた体験はないでしょうね?

 でも、そうなったときの恐怖や緊張というのはなんとなく想像がつくでしょう。人間だってずっと昔の時代には、動物の肉を食べるよりも動物のエサになるほうが多かったと思います。その反応は、今でも私たちの身体に残っています。どんな反応なのか、シマウマになったつもりで考えてみましょう。

 ライオンに追いかけられたシマウマは、それこそ命がけで逃げなければいけません。瞬発力を発揮して、筋肉を最大限使う必要があります。そこで全身の筋肉にたくさんの酸素やエネルギーを送りこまないといけません。

 効率的に空気をとりこめるように、浅くて速い呼吸になります。心臓はドキドキし、血圧が上がります。ライオンの動きをすばやく察知するために、聴覚や嗅覚が過敏になります。一方で痛覚は鈍ります。少しのことで痛がっている場合ではないからです。

 心臓から筋肉に向かう血管は拡張しますが、末梢血管は縮みます。消化吸収能力も低下します。逃げることがすべてに優先になるのです。

 こういうことは全部、意志の力でやっているわけではありません。「心臓を早く動かそう」「血液をこっちの方に優先的に送ろう」なんて、ヨガの達人ならできるかもしれませんが、ふつうの人間や動物にはとても無理です。

 ではどうやっているかというと、これは「自律神経」が担当している仕事です。自立神経には交感神経系と副交感神経系があって、交感神経が興奮すると、全身は逃げたり戦ったりするのに適した緊張状態になるのです。

 ライオンに追われたシマウマの脳内では、アドレナリンが多量に分泌され、交感神経が興奮します。

 一方、獲物を見つけたライオンの側にも、同じ反応が起きます。

 皆さんの中には釣りをする人もいるでしょう。のんびり釣り糸を垂れているときに、魚がかかって糸がかかって糸がぐっと引かれると、急に緊張しますね。その感じを想像してみればライオンが獲物を追うときの緊張状態も想像がつくと思います。

 交感神経の興奮というのは、闘争や逃走、つまり「戦うか逃げるか」という緊急事態のときに起こってくる、あらゆる動物が野生で生きのびるためのしくみなのです。

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重要なお知らせ

第3日曜日(合同例会断酒表彰)変更について

ライオンとシマウマ
 皆さんはおそらく、ライオンに追いかけられた体験はないでしょうね?
 でも、そうなったときの恐怖や緊張というのはなんとなく想像がつくでしょう。人間だってずっと昔の時代には、動物の肉を食べるよりも動物のエサになるほうが多かったと思います。その反応は、今でも私たちの身体に残っています。どんな反応なのか、シマウマになったつもりで考えてみましょう。
 ライオンに追いかけられたシマウマは、それこそ命がけで逃げなければいけません。瞬発力を発揮して、筋肉を最大限使う必要があります。そこで全身の筋肉にたくさんの酸素やエネルギーを送りこまないといけません。
 効率的に空気をとりこめるように、浅くて速い呼吸になります。心臓はドキドキし、血圧が上がります。ライオンの動きをすばやく察知するために、聴覚や嗅覚が過敏になります。一方で痛覚は鈍ります。少しのことで痛がっている場合ではないからです。
 心臓から筋肉に向かう血管は拡張しますが、末梢血管は縮みます。消化吸収能力も低下します。逃げることがすべてに優先になるのです。
 こういうことは全部、意志の力でやっているわけではありません。「心臓を早く動かそう」「血液をこっちの方に優先的に送ろう」なんて、ヨガの達人ならできるかもしれませんが、ふつうの人間や動物にはとても無理です。
 ではどうやっているかというと、これは「自律神経」が担当している仕事です。自立神経には交感神経系と副交感神経系があって、交感神経が興奮すると、全身は逃げたり戦ったりするのに適した緊張状態になるのです。
 ライオンに追われたシマウマの脳内では、アドレナリンが多量に分泌され、交感神経が興奮します。
 一方、獲物を見つけたライオンの側にも、同じ反応が起きます。
 皆さんの中には釣りをする人もいるでしょう。のんびり釣り糸を垂れているときに、魚がかかって糸がかかって糸がぐっと引かれると、急に緊張しますね。その感じを想像してみればライオンが獲物を追うときの緊張状態も想像がつくと思います。
 交感神経の興奮というのは、闘争や逃走、つまり「戦うか逃げるか」という緊急事態のときに起こってくる、あらゆる動物が野生で生きのびるためのしくみなのです。
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