院長からのメッセージ 22

「傷ついた」と言うのは、まだ早い

 部分を全体と受け取ってしまう「認知のゆがみ」が起きる背景には、たとえば子ども時代に自分の全体を否定されるような扱われ方をしてきた…というような、何らかの過去の体験がからんでいます。誰しも、その人なりの過去があって、今があるのです。

 ただし、過去の拒絶体験を振り返るのは、酒をやめたばかりの皆さんには早すぎます。

 よく「自分は傷ついた」とか「子ども時代の傷つき」といった言葉が使われますが、このような言葉には注意が必要です。人というのは言葉で考えるから、いったん「傷ついた私」などと言うと、元気だった私や、普通だった私はどこかにいってしまう危険があるのです。

 こうした言葉は、一生の間に1回か2回、使うべきものだと私は思います。そのときには、その傷をきちんと手当するべきだし、そのようなことに真剣に取り組むべき時期というのがあります。

 でも、酒をやめたばかりの皆さんがいきなりそれをやると、かさぶたを無理やりはがしたようなことになります。まずは認知を変える練習をしてタフになって、現在の拒絶体験に直面できるようになることが大切です。ちょっと妻が嫌な顔をしただけで「拒絶された」と怒りがこみあげたり、自助グループで誰かとうまくいかないからといって「ここは合わない」と感じているうちは、まだ過去の問題に取り組むのは早いのです。

 現在の生きづらさを少しずつ改善してから、過去の問題に目を向けましょう。次週からは、「こだわりから自由になる」というテーマでお話したいと思います。

重要なお知らせ

第3日曜日(合同例会断酒表彰)変更について

「傷ついた」と言うのは、まだ早い
 部分を全体と受け取ってしまう「認知のゆがみ」が起きる背景には、たとえば子ども時代に自分の全体を否定されるような扱われ方をしてきた…というような、何らかの過去の体験がからんでいます。誰しも、その人なりの過去があって、今があるのです。
 ただし、過去の拒絶体験を振り返るのは、酒をやめたばかりの皆さんには早すぎます。
 よく「自分は傷ついた」とか「子ども時代の傷つき」といった言葉が使われますが、このような言葉には注意が必要です。人というのは言葉で考えるから、いったん「傷ついた私」などと言うと、元気だった私や、普通だった私はどこかにいってしまう危険があるのです。
 こうした言葉は、一生の間に1回か2回、使うべきものだと私は思います。そのときには、その傷をきちんと手当するべきだし、そのようなことに真剣に取り組むべき時期というのがあります。
 でも、酒をやめたばかりの皆さんがいきなりそれをやると、かさぶたを無理やりはがしたようなことになります。まずは認知を変える練習をしてタフになって、現在の拒絶体験に直面できるようになることが大切です。ちょっと妻が嫌な顔をしただけで「拒絶された」と怒りがこみあげたり、自助グループで誰かとうまくいかないからといって「ここは合わない」と感じているうちは、まだ過去の問題に取り組むのは早いのです。
 現在の生きづらさを少しずつ改善してから、過去の問題に目を向けましょう。次週からは、「こだわりから自由になる」というテーマでお話したいと思います。