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院長からのメッセージ

第12回「日々を安定して生きるコツを身に付けよう」

2018.8.17

 断酒を継続して行く為には、ストレスを溜めない方法を学んだり、緊張の高い人はリラックスの出来る方法を身に付けたり、人間関係の在り方を学んで人間関係とはどういうものであるのかを知る必要があります。
日々を平穏な心で過ごすことが飲酒再発の予防になると共に、ただ断酒することのみに留まらず心身の安定した生き方に繋がります。 ストレスの元であったことに対してそれらを乗り越えることを学び、以前ほど動揺しなくなることを目指しましょう。周りの人たちともっと共感し合える、穏やかで優雅な生き方を目指しましょう。
ストレスを感じやすいような生き方は生まれついてのものではなく、後から身に付いてしまった癖として捉えて楽な生き方をする、新しいストレスのない癖と入れ替えることを心掛けましょう。この新しい癖を身に付けることで、より豊かで満足の出来る人生を送れるようになることを目標にしましょう。


些細なことにクヨクヨするな

  私たちは、少し頭を冷やせば解決することに、つい過剰に反応してしまうことがよくあります。
 ちょっとしたトラブルや細かい心配事を、大袈裟に考えてしまう人が多すぎます。
  たとえば、渋滞中の道路を運転している時に、前方に他車が割り込んで来ても気にせず放って
 おけば良いものですが、怒りを感じるのは当然だと思い込みイライラして心の安定を失う人がいま
 す。そんな、無理矢理割り込んで来るような運転手は、どこかで勝手に事故を起こしてもらえばいい
 のです。私たちは、他人のする事で腹を立てるのは減らして行く癖を付けましょう。
  このような小さなイライラの種は、日常で頻繁に起こります。
  長い行列の順番待ちにイラついたり、身に覚えの無いことで非難され怒りを感じたり落ち込んだ
 り、そんな時、くよくよしないコツを身に付けていれば生き方に大きな差が付きます。
  小さなことにクヨクヨすることにばかりエネルギーを使い果たし、人生の楽しみに気付いていない
 人が多すぎます。
  小さなことを気にし過ぎない、クヨクヨしない、このコツさえ身に付けることが出来れば些細な
 ことに直ぐ動揺しなくなると同時に、寛容になれる時間帯が増えていきます。


物事を何でも完璧にやろうと考えたり、それを人に押し付けたりすると、ストレスの元になる

  完璧主義を掲げながら平和な日々を送っている人に、未だにお目に掛かったことがありません。
  完璧を求め過ぎると、それが達成されない時、心の平和を乱すからです。
  完璧を求め過ぎて、あるがままを満足して生きる癖を付けて行けないと、何かと欠点にばかりに
 目が行って不満だけが膨らんで行くものです。
  例えば散らかりっぱなしの押し入れ、車のひっかき傷、パッとしない仕事、自分の思いを理解しな
 い家族や職場の人々、といった身近なことや、誰かの欠点まで含めて悪いことばかり見ていると、
 リラックスして生きるという大きな目標を見失ってしまいます。
  アルコール依存症からの回復過程において、断酒して良くなった部分を見て喜んでいる人は、心の
 安定を得るだけではなく、もっと頑張ってよりよく生きようという目標を常に持てます。
  逆に、断酒してから身体的にも精神的にも良くなった部分には目もくれず、まだ改善しない症状
 ばかりに囚われている人は心の安定が無く、いつも不満を持って日々を送らなければなりません。
  そういう人は、人生や人間関係の悪いところばかりに囚われ過ぎる癖が元々あるのです。診察を
 していても、断酒してここも良くなったあそこも良くなったと喜んでいる人の満足した顔つきと、
 断酒しても良くなった部分は見ずにまだ改善しない心身の症状ばかり言い立てる心の不安定な人の、
 二通りに分かれてしまいます。
  症状の良くならない点、つまり欠点ばかり見る人は、日常の中でも良い面は見ずに不満な面、欠点
 ばかりにエネルギーを費やしているのでしょう。ひょっとしたら、こういうタイプの人は、日常や
 人間関係や世間の不満な点ばかり見る癖が身に付いてしまっており、それが日々の大きなストレスと
 なりアルコール依存になってしまったのかもしれません。欠点ばかり見る人は、アルコール依存症の
 回復過程において、完璧な肉体と精神ばかりを追いかけて不満やストレスを感じる癖が身に付いて
 しまっているのです。逆に良くなった面を感謝している人たちは、日々の暮らしにおいても欠点
 ばかり見ないで良い面を見る癖が身に付いて行っているのでしょう。
  ここが本当の回復の分かれ道なのです。




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