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家族のための治療プログラム

当クリニックに来られる家族の要望で多いことは「酒をやめない本人に、直ぐに酒を減らして欲しい、止めて欲しい」ということです。これまで家族は、本人の長年にわたる飲酒に振り回され、節酒や禁酒をさせるため様々な苦労をしてきました。
例えば、説教をしたり、頼み込んだり、酒を隠したり、脅かしたり、その他様々な努力をしてこられましたが、全ては無駄になり、その間費やした大いなるエネルギーは問題の解決に繋がらず、家族の無力感やストレスとして溜る一方でした。アルコール依存症についての正しい知識や家族のストレスケア、飲酒している人への正しい対応の仕方が分からないままに、本人の飲酒は続き、家庭内の緊張は高まり、どうすればよいのかも分からないで混乱しているのが家族の実状です。あるいは、すでに疲れ切ってしまって、諦めている家族も多いでしょう。
そこで長年にわたる、結局は無駄に終わった家族の努力を、本人の断酒に繋がる努力に変えていくことが必要です。 アルコール依存症はニコチン依存症と同じく、脳内にアルコール依存の経路が形成されてしまって、断酒しようとすると強力な飲酒欲求が起こるため、お酒を止めることが出来ない病気です。
その結果、各種の身体の病気だけでなく、家族関係の悪化、仕事への悪影響、子供たちへの悪影響も必ず出てきます。特に、配偶者や親は本人の飲酒に巻き込まれ、日々くたくたになって来院されるものです。
ニコチン依存症の人は、節煙は出来なくなり、たとえしばらく禁煙していたとしても、再び喫煙しだすと元のヘビースモーカーに直ぐに戻ってしまうように、脳内の変化が起こっています。対応策としては、節煙は無駄であり、完全禁煙しか道はありません。
同じように、アルコール依存症も節酒は不可能であり、回復には完全断酒しか方法はありません。しかし、アルコールに対する渇望が強烈なため、節酒や断酒の約束は守られることはありません。それに対する本人の治療も必要ですが、ストレスにまみれた家族のケアも必要です。
当クリニックでは、「家族のためのプログラム」を行っています。そこで行うことは、アルコール依存症に対する正しい知識を獲得し、本人への今までと違った対応の仕方を学び、ストレスにまみれた家族のストレスケアを行い、家族のストレスの軽減を図っています。
家族の皆様も本人の回復のためにも、家庭内に平和が戻る日を信じて、家族のプログラムに継続した参加をお願いします。実際、家族のプログラム参加から、本人の断酒継続に繋がり、以前とは比べものにはならないくらい幸せになっている人々にも多く接することが出来ます。
教育系プログラムとして、相談員講義や教材を活用したテキスト講座やワークの実施、「家族SST」でコミュニケーション方法の具体的な練習も行っています。洞察系プログラムとして、家族の立場の方々だけのミーティングを行っています。
実際行っている治療プログラムについては、別掲載の週間プログラム表をご覧ください。
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