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アルコール依存症の本当の問題

banner アルコール依存症は病気の進行とともに周囲の信用は失われ、多くの人々から受け入れられなくなります。時を経るごとに生活に対する意欲は失われ、リズム感のある日常生活が出来なくなります。 アルコール依存症の症状の一つとして、主観的な時間が短くなることと、物事に対する興味を失っていくことがあり、休日や退職後の空白の時間に耐えられず、といって何か行動する気力も体力も無く、ダラダラと昼から飲酒を続けることが多くなります。そのため、翌日が辛くなり仕事に支障を来たしたり、遅刻や欠勤の増加の為に更に信用を失ったり、周囲から受け入れられなくなっていくことの孤独感、抑うつなどのため、また生活意欲をなくすという悪循環に陥ります。これをアルコール関連生活障害と呼びます。 断酒と同時に生活に対する興味を取り返し、空白の時間をアルコール無しでどうするかを学習するプログラムに参加することと同時に、規則正しく通院を続けることで生活リズムの回復になります。

 

アルコール依存症外来治療のポイント

 1:生活のリハビリテーション
 2:アルコールを断った後のリラックスした生活の中での学び(治療プログラム参加)
 3:ストレスに際してアルコールに逃げないで乗り越える方法論の確認
 4:断酒しながら通院している人が殆どなので、断酒している仲間たちとの交流においての良い
   断酒回復的雰囲気
 5:アルコール問題の本質の理解
 6:飲酒の危機に際する早期介入
 7:ストレスの無い新しい生き方のヒント
 8:離脱症状(禁断症状)の治療が入院よりも簡単なこと
  (離脱症状は環境の変化(入院・隔離など)で悪化することが多い)
 9:自宅からの通院という飲酒可能な環境の中で断酒を続けるという意味の大きさとトレーニング
10:断酒、回復していく姿をみて家族の信用が増す
  (もちろん身体的な治療も頻回に診察することにより効果的に可能)
11:スタッフとの協力のなかで心のスタミナをつけ、飲酒時代にやり残した問題に目を向ける
12:A.Aや断酒会との出会い、繋がりがスムーズにできる
13:人間関係障害と心の障害の関係についての理解と改善
14:医師やスタッフと患者さんの親密度がすぐに増すのでアドバイスを素直に聞ける
  (通院1カ月くらいでも、もう長く付き合っている感じがする)
15:自立支援医療費制度の適用が可能

大切なことはあきらめないこと

 1.この人は何をしても無理とあきらめないこと
  (同じように、この人のことは私が一番知っていると考えないこと)
 2.通院後、再飲酒があったとしても諦めないこと
  (通院当初は再飲酒を繰り返しても、最終的には断酒継続10年を越えている人も多い)
 3.診察だけが治療の場と思わないこと
   (人間は先入観を持つ生き物です。診察、検査、処置を受けるといった受け身的な治療のみではア
   ルコール依存症は回復しません。病気の正体を知り( 正しい知識の獲得)回復の意欲を高めるプ
   ログラムに積極的に参加することがアルコール依存症の治療には必要不可欠です。)
 4.家族もプログラムに参加してアルコール依存症の知識を知り、アルコール依存症者との日々、及び
  失敗をしたときの対応を学ぶこと
 5.自分から酒をとったら何も残らない、と諦めないこと(断酒すれば必ず新しい世界が現れます)
 6.再飲酒について、失敗したから恥ずかしいとか申し訳ないと感じ、再来院するのを躊躇する人も
  おられますが、通院を継続することが大切です。
 7.入院しても治らないのに外来で回復するはずがないと諦めないこと
 8.とにかく全てにわたって諦めないことが大切です

断酒を続けることの困難を知っておくことの大切さ

断酒継続が困難な原因の一つに断酒後のストレスがあります。飲酒時代に放置したり、飲酒が原因で失ったりしたものが、断酒後、しらふのアルコール依存症者の前に大き なストレスとして立ちはだかり飲酒再発のきっかけになることもあります。
例えば・・・
□ 放置してあった金銭的な問題
□ 家族や近隣・親類の人々から冷たくされる孤独感や怒り
□ 職場から信用を失っていることへの気付き
□ 子供たちの非行やその他の問題を有していることへのストレス
□ 飲酒によって家庭、職場、あるいはその両方を失っていることへの孤独感
□ 飲酒時代に山積みになってしまった諸問題

これらのことが断酒継続の大きなストレス障害になり、飲酒してしまう事実があります。
このようなハードルに加えて、将来の不安までが加わることで、真剣に断酒を試みてもいずれかの問題につまずき、ストレスを感じて飲酒をしていたという過去の習慣を取 り戻してしまうのです。

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