宋クリニック院長、宋慎平です。
アルコール大量消費の時代となり久しいですが、アルコールの問題を抱える本人やそれに悩まされる周囲の人々、特にご家族のご苦労は並大抵のものではありません。当院では、それに対応すべく体制を整え、患者様やご家族が“回復の場の一つ”としてご利用いただけるように日々努力しております。
当院も以前は、他のクリニックと同様、摂食障害や神経症、うつ病、統合失調症なども診て参りましたが、アルコール乱用や依存で困っている人々に対応することの重要性を踏まえ、アルコール依存症に特化した体制を強化してきました。ただ断酒をするだけではなく、アルコール問題の背景に潜む他の疾患にもしっかりと焦点を当てて治療を行います。
あらゆる精神的な疾患のため生き辛さを感じ、それをアルコールでカバーしている間に依存症になった人が多いからです。
アルコール依存症の治療としてただ断酒指導を行うだけでは、その生き辛さやストレスを感じやすい生き方のために飲酒を再発する人が多いので、依存症の治療と共に元々あるその人固有の精神的な病や生き辛さを軽減する治療に移行して行き、再発予防を治療の重要な柱にすることが必要となりその対応をしています。
アルコール依存症の治療には入院治療と外来治療があります。
当院は、昭和63年より神戸元町にクリニックを開設して外来専門治療を始めました。
当時、アルコール依存症の入院治療に携わっていた父が、入院⇒退院⇒再飲酒⇒入院を繰り返してしまう患者様を救いたいという思いで外来での治療が始まった経緯があります。
外来治療の利点としては、入院治療と違ってアルコールを購入することが可能な環境の中で、患者様が日々、外来に通院して得た断酒への知識や技術を使って、自主性を重んじ断酒を成功していくことにあります。
外来治療での断酒を患者様が成功させ、アルコール依存症から回復し続けることで、飲酒再発のリスクを減らすことが出来ます。
アルコール依存症の問題として、本人は自分がアルコール依存症になっていることに気付かないか、自分にはアルコール問題は無いと言って病院につながらないことが非常に多いことです。困った周囲の人々、特にご家族の方々に無理に連れて来られるケースが多くあります。アルコール問題を抱えたご家族の苦労は想像を絶するものがあります。家族の一員にアルコール依存症者が存在すると、家族は何とかしようとして色々な努力をされますが結局は問題の解決に繋がらず、最後は何をしても無駄だと諦めることが多いのです。
そのような場合は、「この人には何をしても何を言っても無駄だ」と諦めずに、とりあえず家族から来院され、アルコール依存症者への対応の仕方や家族のストレスケアを行う中で、アルコール依存症者本人の来院へ導いていき、そこから回復へ繋がることも多々あります。実際にご家族の方が先に来院されて、アルコール依存症についての正しい知識を得、対応の仕方を学ぶことで、後から本人が来院されて回復されているケースが数多くみられます。
ただし、本人自身が自分のアルコールには問題があるのではないかと受診される方も以前に比べて増加しています。
また、アルコールによって派手に目に付く問題を起こすケースだけではなく、昨今では、臓器疾患で内科入退院を繰り返してその間に色々な問題が積もっていく、いわゆる静かなアルコール依存症も増加しています。そのような方々に対しても、地域の内科と連携しながら幅広いケアを行っていますので、是非、ご来院の上ご相談いただくことをおすすめします。
どうぞ、あきらめずにご相談下さい。