院長からのメッセージ
第16回「日々出会う嫌なことやトラブル、問題などで、感情を阻害されないようにしよう」
2018.10.19
人は過去の問題を引きずったり、将来の問題に対する不安のため、感情を左右されたりして、
一日を台無しにしてしまうことがあります。過去の問題を引きずる人は、うつ状態やうつ病にな
り易く、将来の問題を常に考え過ぎる人は、不安がつのり病的な状態になると不安神経症になり
易いのです。一日の始まりに昨日や明日の扉を閉め切り、一日の枠の中で生きることで昨日の後悔
や明日の不安から自由な毎日を生きて行きましょう。
自分の中に親身になってアドバイスをしてくれる親友を作り、その中で自己対話をしましょう。
親友がミスをしたとき、あなたは決して叱ったりせず、むしろ励ましてあげるはずです。それな
のに、家族などの大切な人が小さなミスをしたときに、なぜ叱りつけたりするのでしょうか。
そういうときには、親友に対するのと同じように優しく対応します。これを、ディアローグと
言います。
次に、自分がミスをしたり疲れていたりストレスが増えたときなどは、親友が自分に
穏やかに励ましてくれたり、アドバイスをもらったりする感じで自己対話をすることが日々を
リラックスして生きるコツです。これが、セルフディアローグです。
態度の悪い店員や注文を間違えるウエイトレス、電車の遅れ、交通渋滞などは生きている間に
何度も出会うことですので、自分の自由にならないこととして腹を立てずに、静かにやり過ご
しましょう。
3と関連しますが、態度の悪い店員、注文を間違えるウエイトレス、電車の遅れ、交通渋滞で
腹を立てたり不機嫌になったりしてしまうと、自分の大切な感情はそれらのものに支配され
ていることになります。常に外部のものに感情を支配されない日々を送るようにしましょう。
相手の嫌な面や欠点を深刻に受け止め過ぎて、対人関係がうまくいかないという人がけっこう
多く見られます。人間は完全な存在ではありませんし、誰でも欠点はあるものですから、それは
その人の一面に過ぎないと穏やかにやり過ごしましょう。人の失敗や相手のキツイ言い方も、
そういう人なのだとやり過ごすようにしましょう。
日々の嫌な出来事や、うまくいかないことに感情を害したり、困り果てたりして無駄なエネ
ルギーを使わないで、これは一年経っても重要なことだろうか、と自問してみると、それまでの
マイナスの感情は消えていきます。
日々の暮らしの中で、嫌な相手と出くわすことも多いですが、そういう時はこの戦略を使ってみ
ると不思議と気分が穏やかになるものです。
これは常に意識しておきましょう。
当院に通院するのは当然「断酒のために」という目的があるはずです。飲酒再発などの失敗は
反省するとして、隠れて飲酒を続けている人には、目的は何であるかを常に考えるように勧めま
す。
例を挙げると、家族旅行をするのは「みんなで楽しむ」という目的があるはずです。しかし、
家族の準備が遅いとか、交通関係がうまくいかないとか、旅館やホテルのサービスが悪いなど、
小さなトラブルは付きものですし、そのとき腹を立てたり家族に当たったりしがちになりますが、
まずは最初の目的である「家族と楽しむ」ための旅行だと常に目的を忘れないようにしましょう。
これを目的中心主義と言います。