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院長からのメッセージ

第9回「考え方の癖から来る気分障害の正体を学ぼう」

2018.7.6

 私たちは日々いろいろな悩み、わずらいに苦しんでいます。その中でどうしようもなくなり、どうすれば良いのかわからなくなった人がクリニックを訪れるのでしょう。私達が悩み、わずらう原因はどこから来るのか、考えてみる事にしましょう。

 どのような問題の原因も二種類に分ける事が出来ます。それは「内からの問題」か「外からの問題」かの二種類です。私たちの悩みやわずらいの原因のほとんどは、実は外からやってきます。この外からのわずらいの正体を知ることから回復を目指しましょう。まず悩み、わずらいをいくつかの種類に分けてみます。

● 拒絶される。
● 自分の自由にならないことに対して腹を立てる。
● 物事はこうあるべきだ、という固定観念に縛られて不愉快になったり悩んだりする。


 それでは一つ一つみていきましょう。

 まず『拒絶される』について考えてみます。誰でも、周囲の人々や状況から受け入れられずに拒絶されれば感情は乱れるものです。この拒絶体験については、別の機会に詳しく述べます。

 次に『自由にならないことに対して腹を立てる』です。自分、もっと大きくいえば人間には、どうにもならない事がたくさんあります。そのような事に対して腹を立てても仕方ないことだと思いませんか。身近な例で考えてみましょう。
「今日は雨が振っていてうっとうしい、気分がふさぐ」
 多くの人がうなずく意見でしょう。しかし考えてみてください。雨降りのような自然現象は人間にはどうにもなりません。どうにもならない事をうっとうしがって、心の平安を乱されてしまっています。このようなことを思ってみても、よりうっとうしく感じてしまうだけで、いいことはありません。


 次は『固定観念に縛られる』ことについて考えてみましょう。私たちは、いろいろな知識を学ぶにつれて、『物事はこうあるべきだ』というイメージを自分の中に作っていきます。それ自体は問題ないのですが、あまりにそのイメージに自分が縛られてしまって、そのイメージと現実が合わないために不愉快になり悩んでしまうことがよくあります。
 例えば次のような『こうあるべきだ』というイメージに縛られて、無駄に悩んでいませんか。


● いつも健康でいるべきだ
● いつも陽気でいるべきだ
● 友人はたくさん持つべきだ
● スリムな体型であるべきだ
● いつも人に好かれているべきだ


 いくらでも例は挙がりますが、この辺にしておきましょう。いずれも最近よく聞くメッセージです。読んでいて気づいたかもしれませんが、これらは全て『べきだ』で終わっています。理想なのであって実際の平均ではないのです。
 このようなメッセージを信じ込んでしまうと、それに当てはまらない現実に悩み、ともすれば病的状態になってしまいます。また、多くの人は語尾を『なければならない』と変えてしまうのです。


● いつも健康でい『なければならない』
● いつも陽気でい『なければならない』
● 友人はたくさん持た『なければならない』


 という風に・・・
『なければならない』と強固に思い込み、自分を卑下したり、悩んだり、ヤケになっている人がなんと多いことでしょうか。




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