アルコール症テキスト 質問と解答
内科の先生方は、毎日のように数多くの患者さん達の治療にあたっています。そして、その患者さん達のほとんどが、アルコール量をひかえなさいという医師の忠告を守れます。
なぜなら、その人達はまだアルコール依存症になっていないからなのです。
しかし、すでにアルコール依存症になってしまっている人々は、もはやコントロールした飲酒は不可能になっています。
飲み出したら止まらない。これがアルコール依存症の飲み方です。
その証拠に、あなたは内科の医師から受けた、肝臓病や糖尿病などに悪いから酒をひかえなさいという忠告を守れなかったのでしょう。アルコール依存に陥り、飲酒をコントロールできない日々が続くと、いろいろな問題が持ち上がってきますし、家族を中心とした周囲の人々の目は、だんだんときびしくなってきたものと思われます。
このように、自分の酒に対して批難され続けていますと、どこかに自分の飲酒を正当化してくれるものはないかと考えるようになってしまいます。こんな時に内科医から「少しぐらいの飲酒なら」と許可がでますと、すぐに飛びついてしまうものです。
「医者がそう言っている。だから、家族が何と言おうとも自分は酒を飲んでもよいのだ」このように、自己のアルコール問題を合理化して酒を飲むのですが、残念ながら節酒はできないのです。
そして、また身体を悪くして内科病院に入院する。良くなれば退院する。このように自らをアルコール依存症者と認めずに内科の入退院を繰り返し、最後には死亡してしまう人がたくさんいます。現在の日本で、アルコール依存症者が一番多く入院しているのは、精神科の病院ではなく一般の内科なのです。