アルコール症テキスト 質問と解答
「人前で話をするのがにが手である」と訴える人は非常に多いのですが、これは元来の内向性の性格に加えて、長年の飲酒生活のため素面の人と話をするという訓練ができなかった結果であるとも言えます。 実際「酒が入っていないと人としゃべれない」と言う人もかなり多いのです。
しかし、一度「自分は~するのがにが手」と決めこんでしまうと、その人は一生にが手のままに終わるのです。なぜなら、日常の生活の場面で「にが手」なものに出会うと、つい尻込みをしてしまい逃げてしまうからです。このような態度ではいくら年月が流れたところで、そのことは「にが手」のままに終わらざると得ないでしょう。
「人前で話をするのがにが手」と訴えているあなたは、今まで人前で話す場面を避けて生きてきたのに違いありません。しかし、これからはそのような態度を変えていく必要があります。初めから何事も得意な人はいません。
肝心なことは、最初はにが手でも少しずつ人前で話す練習を始めることなのです。
うまくしゃべれなくとも逃げてしまわず、何度も繰り返ししゃべり続けることが大切です。断酒会での体験発表を聴いていますと、初めは発表の時マイクを持つ手も足もガタガタ震わし途切れ途切れに語っていた人も、回を重ねる毎に慣れてきて、しばらくすると見違える程堂々と体験発表ができるようになっている場面をよく経験しました。
しかし、ある人は「自分は話をするのがにが手だから」と例会に出席しても発言を拒否し続け、その結果当然のようにいつまでたってもにが手のままに終わり、そのうち例会を離れてしまい飲酒再発してしまったのです。