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アルコール症テキスト 質問と解答

【答え】
 アルコールという飲料は、すべての意味で麻酔剤としての効果があります。肉体の疲労時にアルコールを飲みますと、一時的に疲労がとれるという経験をされたことがあるかと思われますが、この場合、本当に疲労が回復しているのではなく、アルコールの麻酔作用で一時疲労を麻痺させているだけなのです。
 例えば、虫歯になった時に、一時しのぎの痛み止めの薬(麻酔剤)を使用し、痛みをおさえることはできます。そして、この「痛み止め」の薬を連用して、長期間虫歯の痛みを忘れることは可能です。
 しかし、それで虫歯が治るのでしょうか。そうではなくて虫歯は、どんどんひどくなっていく一方でしょう。これと同じように、アルコールで長年にわたり疲労をごまかしていますと、当然体のあちらこちらに様々な故障が起こってきます。
 身体というものは、どこかに故障が起こると、痛み、不快感などの何らかのサインを出し、故障の事実を知らせるしくみになっています。
 しかし、せっかくのそのようなサインも、またアルコールを飲むことで長期間ごまかしてきたわけです。それどころか、アルコールのため故障が発生し、痛みや不快感などのサインが出れば出るほど、アルコールの量はむしろ増加したものと思います。
 断酒した現在(麻酔剤をやめた現在)、今まで隠されていたあちらこちらの故障が出てくるのは当然のことなのです。人間は、暦の年齢通りに老化していくものではありません。
 身体の手入れをおこたらなかった人と、身体を傷めつけるようなことを続けた人とでは、どちらが故障が起こり易いかは言うまでもないことでしょう。今後は、一つしかない身体の手入れを行い、我慢強く断酒を継続しながら適当な治療を根気よく続け、身体の故障を一つずつ治していく努力が必要です。


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