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アルコール症テキスト 質問と解答

【答え】
 アルコールは、人間の体内で次のように分解されます。吸収されたアルコールはほぼ肝臓に運ばれ、アセトアルデヒドという物質に変化します。このアセトアルデヒドが二日酔いの不快感の原因とされています。しかし、このアセトアルデヒドもすぐさま酢酸に変化します。酢酸とはすなわち酢のことであり、これは体には無害な物質です。
 そして、この酢酸はさらに炭酸ガスと水とに分解され、炭酸ガスは肺を通して呼気として体外へ、また水は汗や尿として体外に排泄されるしくみになっているのです。
 大量飲酒をした翌日に二日酔いになるのは、その人間の分解能力を超えたアルコールを体に入れたためにアセトアルデヒドが残り、これがあの不快な二日酔いの原因となるのです。シアナマイドやノックビンを服用後アルコールを体内に入れますと、このアセトアルデヒドが人工的に体内に溜まってしまい、様々な不快な症状をひきおこすわけです。
 血圧の低下、全身や顔面の紅潮、腹部不快感、心臓のドキドキした感じ、嘔吐、めまい、呼吸困難などの症状が生じ、その恐さのために飲酒を思い止まるというのが抗酒剤です。抗酒剤は世間でよく言われているような、酒が嫌いになる薬ではありません。
 抗酒剤服用の効果については次に説明していきますが、抗酒剤を服用する時の注意として、医師の指示のもとに自ら服用を続けることが最も大切であり、家族が断酒しようとしない本人に隠してお茶に混ぜたりしてこっそりと服用させてはいけません。第一にそれは非常に危険なことですし、第二にそれがわかった場合その後の家族関係がさらに悪くなるからです。


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